【我ら音楽マサイ族】
400年の時を越えて響く笛の音。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは今月にリリースされた、こちらの一枚です。


ヤコブ・ファン・エイク「笛の楽園」全曲録音プロジェクト Vol.6
/江崎浩司 (FOCD-9840)

ヤコブ・ファン・エイクは、16~17世紀におけるオランダの音楽家。作曲のほか、オルガン・カリヨン(組み鐘)・リコーダー奏者としても活躍し、当時はとても有名な存在でした。

生まれながらにして目が不自由であった彼ですが、大変優れた「耳」を持っていました。カリヨンの調律に才能を発揮し、周囲から一目置かれる存在だったと言います。

そんな彼が手掛けたのが「笛の楽園」。151曲から成るこの作品集は、ソプラノリコーダー独奏のために彼一人によって編纂された、極めて大規模な曲集。1640年代頃に出版されたものです。

この「笛の楽園」の全曲集を収録しようという壮大なプロジェクトを進めているのが、マルチプレイヤー、江崎浩司氏。リコーダーをはじめ、バロック・オーボエ、ファゴット、サックスなど様々な木管楽器を操り、シルク・ドゥ・ソレイユの演奏メンバーも務める実力派です。

氏のリコーダー演奏によるこのシリーズ、2017年にVol.1をリリースして以降、続編が順次リリースされており、それぞれ高い評価を得ています。そして今年12月、待望の6枚目が発表されました。全20曲収録されており、その演奏の素晴らしさは言うまでもなく、演奏者自身による曲解説も読み応え十分で、資料的価値も極めて高いものになっています。精緻にして躍動的、端正にして彩り豊かな「笛」の魅力に驚嘆すること請け合いです。

なおこの全曲録音プロジェクトは、全8枚をもって完結する予定となっています。

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