みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。
「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは1月27日に発売されたこちらの企画盤です。
ベスト・オブ・昭和1 ~丘を越えて (COCP-41370)
J-POPと呼ばれる以前の、SP盤時代の流行歌からニューミュージックに至るまでの日本のポップス。そのヒット曲の数々は、2000年前後に盛んに行われた「ミレニアム復刻ブーム」の中で、一気にCD化が進みました。中でも、特にSP時代の楽曲については、当時のより良い状態のレコードを選り抜いた上で盤起こしが行われ、SP音源としてはかなり良質なCD復刻がされるようになりました。
そしてこのたび、そういった「日本の流行歌ひとまとめ振り返り系」のオムニバスシリーズが新たに登場しました。昭和のヒット曲をCD5枚で俯瞰する『ベスト・オブ・昭和』です。
日本コロムビアからのリリースですが、収録曲はレーベルの壁を越えており、例えばシリーズ1枚目ではコロムビア音源のほかに「赤城の子守唄/東海林太郎」(原盤:ポリドール)、「人生の並木路/ディック・ミネ」(原盤:テイチク)なども収められています。惜しむらくは、「東京ラプソディ/藤山一郎」が初出のテイチク音源ではなく、再録音バージョンとなるコロムビア音源が使用されている点です。権利の問題か、はたまた音質上の取捨選択の結果か、これについては定かではありません。
それはさておき、昭和元年~20年「1 ~丘を越えて」、21~30年「2 ~リンゴの唄」、31~40年「3 ~高校三年生」、41~50年「4 ~ブルー・シャトウ」、51~64年「川の流れのように」、以上5枚に、数々のヒット曲をコンパクトにまとめてあります。
それゆえに、あの曲もない、この曲もない…とお思いの方も当然おられるでしょう。もちろんそういった向きには、さらに枚数の多いオムニバスシリーズがすでにリリースされていますので、そちらをご検討ください。「今回くらいのボリューム感が気軽でちょうど良い」というみなさんにこそお薦めしたいシリーズとなっています。言わずもがな、たび重なるCD復刻の恩恵として、昭和初期から64年まで、どの時期の音源もおしなべて旧来より高音質となっています。