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11回目は「テレワーク定着へ模索 熊本県内の事例」についてです。
社内規則 数値目標 環境整備
規模や業種で濃淡
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自宅などで仕事をするテレワーク導入を進めようと、社内規則に盛り込んだり、出社率を目標に掲げたりする動きが県内企業でも徐々に広がっています。県独自の緊急事態宣言でも感染防止策としてテレワークを推進するよう求めており、新しい働き方の定着に向けた模索が続いています。
「通勤時間がなくなる上、その日に何をするべきか、仕事を仕分けることもできて生産性が上がっている」
熊本市東区の肥後銀行京塚支店で営業を担当する田中靖昌支店長代理は週1回、業務用タブレット使って在宅勤務。デスクワークに向く融資の稟議書や業務改善計画などの作成に充てている。
同行は昨年4月に国が出した緊急事態宣言を機に、本部・支店のテレワークの実施率2割を目標に掲げ、部門やグループごとに交代でテレワークを実施している。同10月には正式な制度に位置付け、就業規則を改定。今年1月中旬に県独自の緊急事態宣言が発令されて以降は本部の実施率を3割に引き上げている。
県の宣言後、総務や管理など間接部門の出社率を50%以下に抑える目標を掲げたのは電気工事の白鷺電気工業(熊本市)。実際の出社率は目標を上回る35%に抑えており、工事やメンテナンスなどの部門でも可能な限り実施しているという。
昨年、テレワークに適した情報処理システムを本格的に導入。ビデオ会議なども継続されており、「抵抗なく取り組みを拡大できている」と沼田幸広社長。4月にはテレワークに関する社内規則を新たに設ける予定だ。
住宅会社のアネシス(同市)も昨年、テレワークに関する規定を新たに作成。定期的な報告や成果物の提出を条文に盛り込んだ。パソコンやスマートフォンのセキュリティーを強化するなど環境整備も進め、グループ会社を含めた全社員176人のうち3分の1のがテレワーク実施中だ。
県が設けたテレワーク導入に関する支援窓口への相談件数は昨年6月の開設以降、延べ約50件。「導入したくても、何から手を付けたらいいか分からない」「テレワークが可能な業務の洗い出しが進まない」などの声が寄せられているという。
労務管理に関しては社会保険労務士を派遣し相談に当たっているが、県労働雇用創生課は「小規模事業者では業績の回復か最優先で、テレワークを導入する余裕がないところもあるのでないか」と話す。
パーソル総合研究所(東京)が、昨年11月に全国の正社員約2万人を対象に実施した調査によると、熊本県内のテレワーク実施率は14.2%。半年前より6.1ポイント増えたが、全国平均の24.7%を下回っている。
「製造現場でテレワークを導入するのは難しい。マスク着用などの対策を徹底するしかない」(県北の自動車関連メーカー)といった声も多く、企業規模や業種で導入の動きに濃淡があるのが現状だ。
(2021年1月31日熊本日日新聞)