【我ら音楽マサイ族】
猫のように寄り添う、心地のよいシューゲイザー。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのはこちらのアルバムです。

 猫とアレルギー/きのこ帝国 (UPCH-20403)

きのこ帝国は2007年に大学の同級生4人で結成された日本のロックバンド。その翌年から渋谷や下北沢を中心に本格的なライブ活動を開始。2012年以降はミニアルバムやフルアルバムをインディーズから精力的に発表し、注目を集めました。

2015年にメジャーデビューを果たし、シングル1枚、アルバム3枚をリリース。ますます活動の幅を広げつつありましたが、メンバーの一人が実家を継ぐこととなり脱退を決意、バンドは新メンバーを迎える選択をせず、2019年に活動を休止しています。

「シューゲイザー」と呼ばれるスタイルが彼らの音楽です。往年のサイケデリック・ロックの流れを汲むこのジャンルは、エフェクターにより重厚に歪ませたギター、飽和するほどに高めの音圧で録られたドラムスやベースといった「厚みのある、あふれる音」の一方で、あくまでハーモニーを重視し、ポップで叙情的なメロディーラインや張り上げないボーカルなどが特徴となっています。

イギリスのバンド「ムース」のメンバー、ラッセル・イェーツの逸話が残っていて、歌詞を足元に貼り付けて歌っている姿が「まるで靴を見つめて歌っているようだ」ということで、このスタイルを「シューゲイザー」と呼ぶようになりました。実はこの言い方は和製英語でして、本来の英語では「シューゲイジング」「シューゲイズ」と表現されるのですが、内省的・シャイ・ナイーブなイメージであるこのジャンルを的確に言い表していると感じます。

さて、そんなスタイルをひっさげてメジャーシーンに打って出たきのこ帝国が、2015年11月に発表したのが「猫とアレルギー」。メジャーレーベルにおける最初のアルバムです。全ての楽曲を手掛けているのは、ボーカルでギターの佐藤千亜妃。そのソングライティングのセンスが光る全12曲。あたたかくもあり、切なくもある音楽世界。彼らならではの、あたかも猫のように寄り添ってくれるようなサウンドに浸ってみてください。

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