みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。
「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは先月リリースされたこちらの復刻CDです。
フラワー・コンサート/アグネス・チャン (BRIDGE-322)
1971年、ジョニ・ミッチェルの名曲『サークル・ゲーム』(この曲はバフィー・セント=メリーのバージョンが映画「いちご白書」で使用され広く認知されました)を、姉の陳依齡(チャン・イーリン[アイリーン・チャン])とともに歌った、陳美齡(チャン・メイリン[アグネス・チャン])。この曲は香港でリリースされたオムニバスLPに収録され、シングルカットもされて好評を博しました。
その翌年、香港のテレビ番組でアグネスと知り合った平尾昌晃によって日本に紹介され、1972年11月25日、『ひなげしの花』で日本デビューを果たしました。以降、翌73年にかけて『妖精の詩』『草原の輝き』『小さな恋の物語』と、たちまちチャート上位の常連となったのでした。
そんな彼女のライブ盤が、このたび最新リマスターを経て待望のCD化。(CDボックスセットとしてのCD化はされていますが、単体でのCD化は今回が初) 今回ご紹介したこちらは、73年9月15日に行われた東京・草月会館での実況録音盤。まだシングル曲も『ひなげしの花』『妖精の詩』『草原の輝き』と少ない中、それらヒット曲ももちろんセットリストに採り上げながらも、洋邦幅広くセレクトされたカバーソングの数々が聴きどころとなっています。
例えば、香港での実質上のデビュー曲『サークル・ゲーム』。来日後にも再レコーディングしているほどの「お気に入り」の一曲で、このライブでも披露。デビュー当時のフォーキーなテイストに満ちた、魅力的な表現です。他にも『幸せの黄色いリボン』(原曲:ドーン)、『悲しき天使』(ソ連歌謡 メリー・ホプキンによってヒット)、『ウィズアウト・ユー』(原曲:バッドフィンガー ニルソンのカバーでヒット)などは出色の出来栄えといえます。
なお、この「フラワー・コンサート」と同時発売で、75年リリース『ファミリー・コンサート』(ムーンライダースがアレンジを担当)、76年リリース『また逢う日まで』(カナダ留学のため活動を休止する直前のライブ)と、合わせて3枚の貴重なライブ盤が、いずれも最新リマスターでラインナップされています。アーティストと観客とが作り出す、当時ならではの雰囲気、空気感に触れられるのはライブ盤ならではのもの。この機会にお手に取ってみてはいかがでしょうか。