みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。
「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは先月20日にリリースされたこちらの再発盤です。
世界は愛を求めている/伊東ゆかり (SWAX-1035B)
「和製ポップス」シンガーの草分けの一人、伊東ゆかり。中尾ミエ、園まりとで「スパーク3人娘」と呼ばれ、外国曲の日本語カバーのほかオリジナル楽曲も多数手掛け、特に1967年の「小指の想い出」は爆発的ヒットを記録。「日本レコード大賞 歌唱賞」を受賞しています。
そんな彼女ですが、70年に大手事務所から独立。レコード会社もキングから日本コロムビアへ移籍しました。この時期をターニングポイントとして、スタンダードナンバーなど、「大人のシンガー」としてのレパートリーを積極的に採り上げています。
今日ご紹介したCD『世界は愛を求めている』はそうした時期に収録された音源をコンパイルした編集盤。2015年にリリースされており、人気のため今回再発されました。
レコードにて既発の2枚のライブ盤、75年発売『オン・ステージ ゆかり愛を求めて』から18トラック、72年発売『オン・ステージ 陽はまた昇る』から3トラック、計21曲が収録されています。
収録されている曲目を見ると、当時の日本における洋楽ヒット事情がよく分かります。ロバータ・フラック、カーペンターズ、フランク・シナトラをはじめ、アリダ・ケッリ「死ぬほど愛して」、フランシス・レイ「男と女」、ミシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」など、選曲は実にワールドワイド。それらを、原詞と訳詞を取り混ぜて見事に歌い上げた、実に貴重な記録となっています。再発されたこの機に是非どうぞ。