【我ら音楽マサイ族】
「ニューウェイブ」の時代に生まれた一枚。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは本日リリースされたこちらの復刻盤です。

ランドセル/P-MODEL

P-MODEL(ピー・モデル)は1979年に日本で結成されたテクノ・ポップのバンド。プログレッシヴ・ロックを展開していた前身バンドの解散によって生まれました。デビュー当時は同時期に結成されたプラスチックス(グラフィックデザイナー、イラストレーター、スタイリストらによる素人パーティーバンドから発展してデビュー)、ヒカシュー(演劇人とミュージシャンとの邂逅)とともに「テクノ御三家」などと呼ばれていました。

「テクノポップ」に括られるこの3つのバンドに共通して言えることですが、確かに表現方法としてシンセサイザーやリズムボックス等のテクノロジーを用いてはいましたが、もっと広く、ポスト・パンク、ニューウェイブの流れにいたものとざっくり捉える方がより相応しいと思われます。その意味で、彼らのスタイルはアメリカのバンドDEVO(ディーヴォ)の影響を強く受けているものと言って間違いないでしょう。

さてP-MODELですが、79年、80年、81年に当時のワーナー・パイオニアから初期アルバム3部作をリリースしており、これらの最新リマスタリング、高音質CD化が進められていました。昨年11月に1st「IN A MODEL ROOM」、12月に3rd「ポプリ」が復刻され、そしてこのたび待望の2nd「ランドセル」が登場。初期3枚の復刻盤がこれにて出揃ったことになります。

鬼才・平沢進(Vo,G)を中心に、秋山勝彦(B,Key)、田中靖美(Key)、田井中貞利(Drs)と、デビュー当時の4人による最後のアルバムがこれです(リリース後、秋山が脱退)。本人たちによる「脱テクノ」宣言前夜、さらに何か新しいものを…と模索する若い才能のスナップショットがここに収められています。

【我ら音楽マサイ族】
ひと息つきたい時、心に寄り添う「古楽器」の響き。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは今月リリースされたこちらの新譜です。

シューベルト: アルペジョーネ・ソナタ 他/ルーディン、ハッキネン 他

アルペジョーネとは、19世紀前半に考案された楽器。見た目や演奏法はチェロに似ており、椅子に座った演奏者の前に立てて構え、弓を用いて奏でます。6本の弦を持ち、さらに24のフレットがあるため、この点はギターのようです。そのため「ギター・チェロ」とも呼ばれていました。古楽ファンであれば、バロック期の楽器「ヴィオラ・ダ・ガンバ」との類似性にお気付きかも知れません。

アルペジョーネの外観

そしてこの楽器のために書かれた、現在に伝わる唯一の有名曲が、シューベルトによる「アルペジョーネ・ソナタ」です。この楽器が考案されてすぐ、1824年に作曲されました。ところがこの曲が実際に出版されたのは1871年。もうその頃には、アルペジョーネは忘れ去られた楽器となっていたのです。

そこで演奏家たちは、チェロやヴィオラ、あるいはコントラバスなどを代用してこの「アルペジョーネ・ソナタ」を演奏しました。肝心のアルペジョーネが廃れてしまっていた以上、そうするのが当初からの通例だったのです。しかし、音域も違う、仕組みも違う、そんな楽器を代用するのですから、楽譜そのままを再現するのは非常に困難であり、したがって多少の編曲は仕方のないところでした。

ようやく20世紀中頃になって、アルペジョーネを復元し、原曲を忠実に演奏しようという試みが活発になり、今ではそういった「シューベルトが意図した本来のスタイル」による演奏もCD等で聴けるようになってきました。

今回ご紹介するのは、アルペジョーネとフォルテピアノ(モダンピアノの原型となる古楽器)による、「アルペジョーネ・ソナタ」の新しい録音を収めた一枚です(収録は2019年)。アルペジョーネを演奏しているロシアのアレクサンドル・ルーディンは本来チェロ奏者ですが、正統派の古楽演奏を体現するために、ヴィオラ・ダ・ガンバやこのアルペジョーネも積極的に用いるという人物。本作においてもアルペジョーネならではの独特なニュアンスを見事に表現し切っています。

なお本盤にはこの曲のほかに、シューベルトによる晩年の大作、ピアノ三重奏曲第2番も収録されています。こちらにおいてはルーディンはチェロに持ち替え、ヴァイオリンのエーリヒ・ヘーバルトも加わって堂々たる演奏を繰り広げています。

【我ら音楽マサイ族】
リリカルなピアノソロで聞くスクェアの世界。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは昨年12月30日にリリースされた、こちらの一枚です。

コンプリート・ソロ・ピアノ・ワークス III/和泉宏隆

和泉宏隆(いずみ ひろたか)は1958年生まれのジャズ・ピアニスト。

慶応大在学中はジャズサークルに参加したのち、82年にフュージョンバンド「ザ・スクェア」(のちのT-スクェア)に加入。以来、98年に脱退するまでキーボード奏者としてスクェアサウンドの中核を担ってきました。脱退後もバンドメンバーとの交流は続いており、たびたび現メンバー・旧メンバーとのプロジェクトに参加しています。

そんな彼が2019年から制作を開始したのが、『コンプリート・ソロ・ピアノ・ワークス』シリーズ。全5枚の予定で順次リリースが続いていますが、その第3弾が昨年末に発表されました。

スクェア在籍時に和泉が手掛けた楽曲をピアノソロアレンジにより再録音するというコンセプトのシリーズで、これまで同様に今回も全10曲が収録されています。バンド内ではキーボーディストとしていくつものシンセを操っていた彼ですが、現在では常にアコースティックピアノのみを弾くスタイルです。もとよりリリカルで抒情的な彼の作品ですので、ピアノソロとなったことでその特徴がいっそう際立ち、知っている楽曲群の新たな魅力に気付かされます。

【我ら音楽マサイ族】
400年の時を越えて響く笛の音。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは今月にリリースされた、こちらの一枚です。


ヤコブ・ファン・エイク「笛の楽園」全曲録音プロジェクト Vol.6
/江崎浩司 (FOCD-9840)

ヤコブ・ファン・エイクは、16~17世紀におけるオランダの音楽家。作曲のほか、オルガン・カリヨン(組み鐘)・リコーダー奏者としても活躍し、当時はとても有名な存在でした。

生まれながらにして目が不自由であった彼ですが、大変優れた「耳」を持っていました。カリヨンの調律に才能を発揮し、周囲から一目置かれる存在だったと言います。

そんな彼が手掛けたのが「笛の楽園」。151曲から成るこの作品集は、ソプラノリコーダー独奏のために彼一人によって編纂された、極めて大規模な曲集。1640年代頃に出版されたものです。

この「笛の楽園」の全曲集を収録しようという壮大なプロジェクトを進めているのが、マルチプレイヤー、江崎浩司氏。リコーダーをはじめ、バロック・オーボエ、ファゴット、サックスなど様々な木管楽器を操り、シルク・ドゥ・ソレイユの演奏メンバーも務める実力派です。

氏のリコーダー演奏によるこのシリーズ、2017年にVol.1をリリースして以降、続編が順次リリースされており、それぞれ高い評価を得ています。そして今年12月、待望の6枚目が発表されました。全20曲収録されており、その演奏の素晴らしさは言うまでもなく、演奏者自身による曲解説も読み応え十分で、資料的価値も極めて高いものになっています。精緻にして躍動的、端正にして彩り豊かな「笛」の魅力に驚嘆すること請け合いです。

なおこの全曲録音プロジェクトは、全8枚をもって完結する予定となっています。

【我ら音楽マサイ族】
生誕80年・没後40年、ジョンの歌声は永遠。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは今年10月にリリースされた、こちらのベスト盤です。

GIMME SOME TRUTH./ジョン・レノン (UICY-15941~2 他バージョン違いあり)

1940年に生まれ、1980年にこの世を去ったジョン。まさに今年が生誕80年・没後40年に当たるということで企画されたのが、今回ご紹介するベスト盤「GIMME SOME TRUTH.」です。

リリースに際してはいくつかのバージョン違いが用意されており、全19曲を厳選収録したCD1枚仕様、全36曲というボリュームのCD2枚組仕様、CD2枚に加えて全曲をハイレゾ収録したBlu-ray Audioをセットした3枚組仕様、さらにLPレコード仕様も用意されています。

特に今回のベストで注目すべきは、収録曲はすべて現存するマルチ・トラックから新しくミックスし直されているということです。音像のバランスやセパレーションなど、何もかもが一新されています。従ってオリジナルのバランスに慣れてしまった耳には、一聴すると違和感を覚えるかも知れません。しかしジョンのボーカルなどは今までよりリアルさや生々しさが増しており、ここには率直に感動しました。

それぞれの曲が持つ全体の空気感、奥行、総じて雰囲気が変化している点は、人によって様々に評価も分かれるだろうと思われますが、それでも、ジョンの魅力を再認識する絶好のきっかけになるだろうということにおいて、今般の思い切ったリミックスは大いに意味のある企画であると言えるでしょう。

代表曲をほぼ網羅していますので、ジョン・レノン入門編としてもお薦めです。もちろんオールドファンにも、現代的にブラッシュアップされた新ミックスのジョンを驚きとともにご堪能頂けること請け合いとなっています。

【我ら音楽マサイ族】
70年目のレジェンド、ナベサダを聴く

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは12月2日にリリースされた、こちらの2枚組ベスト盤です。

Look For The Light/渡辺貞夫 (UCCJ-2186~7)

1951年、18歳にして上京。53年に秋吉敏子の「コージー・カルテット」に加入、その後ジョージ川口と活動を共にし、初のリーダー作「渡辺貞夫」をリリースしたのは61年のことでした。

バークリー音楽院への留学を経てさらに音楽観を広た彼は、以降ボサノヴァを採り入れたり、クロスオーヴァー/フュージョンのヒットアルバム「California Shower」を発表するなど、世界を股にかけた活躍ぶりはご承知の通りです。

そんな「生きる伝説」の彼が、2021年の音楽生活70周年を前にリリースした記念ベストが、この「Look For The Light」。2枚組、計25曲というボリュームで、レーベルの枠を越えて集められたこれら珠玉の作品群は、アーティスト本人がセレクトしたものです。

いずれも代表作ばかりで、ナベサダの偉業を手軽に俯瞰することのできる内容となっており、初心者にもオススメできる企画盤です。

【我ら音楽マサイ族】
10年目のいま聴きたい「星野えん歌」

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

「我ら音楽マサイ族」、今回採り上げますのは11月15日にリリースされた、こちらのオムニバス盤です。

作詞家・星野哲郎作品集~紙の舟に乗せて~ (COCP-41325)

作詞家・星野哲郎作品集~はやりうた こころうた~ (CRCN-41359)

若くして体調を崩し、仕事を辞めざるを得なくなった20代の星野。その闘病中に学んだ作詞の能力が花開き、雑誌への入選を経て作詞家デビューを果たしたのが1953年のこと。その生涯で手掛けた作品数は4000曲に及びます。

2010年に惜しまれつつこの世を去った彼の「没後10周年メモリアル企画」として、命日の11月15日にリリースされたのがこの2枚。日本コロムビア盤『紙の舟に乗せて』では、「みだれ髪/美空ひばり」「アンコ椿は恋の花/都はるみ」「黄色いさくらんぼ/スリー・キャッツ」といったヒット曲に加え、実質的デビュー作「チャイナの波止場コロムビア・ローズ、若山彰」や、八代亜紀が歌う「男はつらいよ」などのレア音源も収録した全18曲。日本クラウン盤『はやりうた こころうた』では、レーベル創立にも関わった彼の意気込みがそのまま伝わってくる代表曲「三百六十五歩のマーチ/水前寺清子」「自動車ショー歌/小林旭」「函館の女/北島三郎」など全18曲。

遠くにありて歌う遠歌、人との出会いを歌う縁歌、人を励ます援歌・・・、これらを総じて「星野えん歌」と呼ばれる名作の数々。没後10年を迎え、いま一度じっくりと味わい尽くしたいところです。

【我ら音楽マサイ族】 達郎サウンドの魅力♬

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。
音楽ライター まさいよしなりです。

RKKラジオ「奥田圭のさんさんラジオ」内でお楽しみ頂いておりました
「我ら音楽マサイ族」、このたびブログ版としてこちらで連載させて
頂くことになりました。なにとぞよろしくお願い致します!

洋の東西、新旧、ジャンルを問わず、まさいセレクトで
様々な音源をご紹介させて頂く「我ら音楽マサイ族」、
今回採り上げますのは、まさに本日リリースされた再発盤です。

POCKET MUSIC/山下達郎 POCKET MUSIC/山下達郎 (WPCL-13234)

僕の中の少年/山下達郎 僕の中の少年/山下達郎 (WPCL-13261)

前者は1986年発表のスタジオアルバム8作目、
後者は1988年の同9作目。
中期タツローを代表する佳曲が散りばめられ、
新たな試みもふんだんに盛り込まれた名盤2枚が、
このたびアーティスト本人の監修による最新リマスターにて登場。

いずれも質感・ぬくもり・しなやかさを大切にしながらも
音の明瞭さと粒立ちが向上した絶妙のリマスターで、
「POCKET MUSIC」のほうは特に成功している印象です。

また、シングルバージョンやMIX違い、初期デモ版にカラオケと、
盛り沢山のボーナストラックも実に嬉しいところ。

リフレッシュを遂げた80年代後半のタツローサウンドを
この機会に堪能してみてはいかがでしょうか。