【BOSS COLUMN】第12回 香梅アートアワード

 創設からお手伝いしている、熊本ゆかりの女性芸術家を顕彰する「香梅アートアワード」。
 今年は、「香梅アートアワード」   伊藤比呂美さん(詩人、作家)
     「香梅アートアワード奨励賞」前田由佳理さん(版画家)に決定しました。

 これまでの贈賞式は、お菓子の香梅さんと親交のある在熊の芸能人の方々が集まってのパーティーの中で実施されていましたが、今回は密を避けて・・ということで、お菓子の香梅さんが管理している古今伝授の間(水前寺成就園)で開催されました。選考委員は、日沼禎子さん(女子美術大学教授)、楠本智郎さん(つなぎ美術館 主幹学芸員)、副島隆さん(お菓子の香梅 会長)

 伊藤さんは、アメリカ(カリフォルニア)と熊本、そして、東京を行ったり来たりの暮らしだったようですが、現在は、コロナの影響もあり、ずっと熊本で過ごしていらっしゃるとか。私自身、とても若い頃から存じ上げている方ではありましたが、初めてお会いできて、とても感激でした。また、前田さんも、作品やご活躍は存じ上げていましたが、お会いするのは初めて。お二人とも、ご挨拶もとても素敵でした。

 お二人の巡回展覧会は、毎年よりも少し遅いタイミングで・・2021年4月10日(土)お菓子の香梅 帯山店からスタートし、6月中旬まで、アートスペースを併設している、人吉店、菊池店、光の森店を巡回します。

 これから、巡回展覧会の打ち合わせ、パンフレットの制作に取り掛かっていきますが、お二人にお会いできる時間がとても楽しみです。


■香梅アートアワード     
伊藤比呂美 (いとう ひろみ)詩人・作家

伊藤比呂美氏は、旺盛な好奇心によって得られる経験を現代詩の枠を超えた文学として世に送り出してきました。時には破滅的な予感がともなう事態をも厭うことなく大胆に受け入れ、自身の身体性を問い直すかのように、皮膚感覚に近くとも既視感のない言葉の世界を紡ぎ出しています。性別にとらわれない魂の自律を尊ぶ妻や母や子の視点をもって、生と死、老いと介護など社会と個人が直面する切実な問題を取り上げた作品の数々は、多くの人々の共感を得ています。また、2008年には熊本文学隊を旗揚げし、有志とともに熊本における文学の発展に寄与してきました。これら長年の功績と言語表現の世界に果敢に挑み続ける文学者としての精神をたたえ、「香梅アートアワード」を授与します。

■香梅アートアワード奨励賞   
前田由佳理(まえだ ゆかり)版画家

前田由佳理氏は、数々の著名な版画コンクールでの受賞により、注目される版画家のひとりです。その独自の感性によって作り出される作品は、一度出会ったら忘れることのできない、強い印象を人々に与えます。生活(消費・消耗)というフィルター経由し、不要なものとして片付けられ、捨て去られてしまうものたちと、それらがまるでなかったかのように、虚ろな目、素知らぬ顔でまた次の生活(消費)へと移動する人間たち。エッチングによる緻密な描写、インクによる彩色、雁皮のコラージュから生まれるセピアがかった独自の風合いが、私たちの「今」という日々の集積を、普遍的な時間軸へと昇華させています。こうした独自の表現への真摯な取り組みを高く評価するとともに、今後のさらなる飛躍を期待し、前田由佳理氏へ、「香梅アートアワード奨励賞」を授与します。

(代表取締役 浜島玲恵)