持続可能な地域づくり

 世界的なSDGs推進の中、日本でも持続可能な地域づくりが進められています。そんな中、SDGs未来都市のひとつ、小国町で開催されたGSTCトレーニングに参加してきました。

 GSTCというのは、Global Sustainable Tourism Council の略。持続可能な観光の推進と持続可能な観光の国際基準を作ることを目的に、2007年に発足した国際非営利団体です。2008年には観光産業向けの指標(GSTC−I : Global Sustainable Tourism Criteria for Industry)、2013年には観光地向けの指標(GSTC−D : Global Sustainable Tourism Criteria for Destinations、2019年12月に改訂を行い、現在はGSTC Destination Criteriaという名称(略称はGSTC-Dの まま)となっている)を開発し、管理・普及活動を行っています。

 GSTC発足以前から世界では、すでに特定の地域で独自に開発されたものなど、多数の持続可能な観光基準 やエコラベル等が存在しており、何が正しいものなのかわからない状態でした。そのような混乱を避けるため、当初は2つの国連機関(国際連合環境計画(UNEP)と国連世界観光機関(UNWTO))が協力し、観光産業向けの国際基準を開発していく事になりましたが、その後、国連基金(United Nations Foundation)、レインフォレストアライアンス、と共にリードを取り、32のパートナー団体と連携し、GSTCが設立され、基準が制定されていきました。

 そして小国町での研修。
 SDGsの17のゴールと照らし合わせながら、世界基準の指標に沿って、どのようにすることが持続可能な地域づくりなのか、参加者全員で学びました。

 最終日の現地調査。わいた地区の地熱発電は、住民による住民のための発電所。沸き立つ温泉のエネルギーで発電し、住民が使用する4倍の電力を生み出しているとか。杖立温泉は開湯1400年を誇る昔ながらの温泉街。街中にはむし場があり、地域の新鮮なお野菜をその場で蒸して食べることが可能です。
基幹産業である林業も、天然のエネルギーで乾燥させたり、地域の女性たちによってドライフルーツなどの特産品も開発されています。

 街中を歩くと小国銀行の跡地。肥後銀行の前身でもある銀行の通りは、多くの町屋が並んでいて、センスのいい若者たちがリノベした建物で様々な業態にトライアルしていました。

 観光の目玉としては「鍋ケ滝」が有名ですが、なんと最盛期には200万人の来訪者があったとか。今後は北里柴三郎の生家、記念館も観光施設として整備されていくようです。

 持続可能な観光について、今後も地域の人たちと計画を立てていきたいと思っています。

【BOSS COLUMN】ワーケーションという働き方

 コロナの影響もあり、リモートワークも特別なことではなくなりましたが、最近は、ワーケーションという働き方が少しずつ浸透しはじめています。ワーケーションとは、ワーク+バケーションの造語。すなわちバケーションしながらワークをすることです。wi-fi環境が整っている施設も多いので、パソコンと電話さえあれば仕事ができる!という方も多いのではないでしょうか?

 私が実証実験をお手伝いしたのは、阿蘇くじゅう国立公園内でのワーケーション。環境省の事業だったので、環境の負荷のかからないサスティナブルツーリズム、「ゼロ・エミッション」をテーマにモニターツアーを実施しました。

 福岡市在住のSさんfamilyは、「秘湯を守る会」のメンバーでもある「寒之地獄温泉」でワーケーション体験。ここは、霊泉を薪で炊いて温めた温泉が自慢なので、家族みんなで、まずは、近隣から集められた木々の薪割り体験。窯に入れるまで体験できます。ワークも、客室だけではなく、パブリックなスペースでも快適に仕事ができます。

 同じく、福岡からのFさんたちビジネス仲間のワーケーションは、別荘を丸々貸切っての体験。眺めのいい広いスペースで、取材のアポイントや資料作成。近隣のお店から手に入れた地元の食材で、身体が温める鍋料理を、地ビール、地ワイン、地酒とともに。


 そして、熊本市内から参加したYさんfamilyは、温泉の蒸気で発電所をつくった「九重観光ホテル」での体験。登山家でYoutuberのYさん。もともと環境に負荷をかけない登山は意識していたようですが、さらに「ゼロ・エミッション」を意識した登山にチャレンジしていただきました。持ち込まない、汚さない、は基本ですが、糞尿の問題も真剣に考えて、簡易トイレの実験や登山弁当のモニターなどにも意見を寄せていただきました。

 今週2月22日に「観光SDG’S支援センター」の設立総会があり、私が上席研究員をつとめる「地域観光研究所」が事務局を担うことになりましたが、サステイナブルツーリズム、ゼロエミッションを意識した過ごし方、そして、ワーケーションという働き方ももっと、もっと日常的なものになっていきそうです。

 

【BOSS COLUMN】観光SDG’s支援センター設立

 一般社団法人地域観光研究所の上席研究員としても活動しておりますが、この度、地域観光研究所が事務局となり、「観光SDG’s支援センター」が設立されることになりました。

 日本における持続可能な観光(サスティナブルツーリズム)の普及を総合的に支援する団体といて、特に国際基準の認証制度を普及させていくため、問い合わせ窓口から、研修・導入支援などのサービス提供、関係機関へのコーディナートなどのワンストップ機能を構築することを主な目的としています。

発起人の共同代表は3人

・荒井一洋(NPO法人大雪山自然学校 代表理事)

・坂元英俊(一般社団法人地域観光研究所 代表代表)

・高山 傑(アジアエコツーリズムネットワーク会長、一般社団法人JARTA代表)

下記の通り、設立総会が開催されます。

              記

日時:2021年2月22日(月)13:00~14:00

場所:ZOOM(参加希望者にはアドレスが送られます)

費用:無料

参加方法:事務局までメール

その他:設立趣意書、総会の案内は添付ファイルでお送りします

|事務局担当者|
観光SDG’s支援センター設立発起人会事務局
(一般社団法人地域観光研究所・東京事務所)
〒103-0027 東京都中央区日本橋1丁目13-1 日鉄日本橋ビル3階
久保(kubo@chiikikanko.jp)